水没車

クルマが浸水したらエンジンは掛けない

近年は、大雨による洪水だけでなく、季節外れの台風上陸やゲリラ豪雨といった現象も珍しくないので、「ある日突然、愛車が水没する」という想像もしたくない場面に遭遇する可能性は高まっています。

 

そこでこのページでは、いざという時の予備知識として、クルマが水に浸かってしまった場合の対処法や、その後の修理、保険の適用条件などの説明をします。

 

水没車01

 

早速ですが、もし駐車場などで愛車が浸水してしまったら・・・

 

もちろん、クルマが水に浸かってしまったら、できるだけすみやかに販売店か最寄りの自動車工場に点検・整備をしてもらうというのが基本です。

 

クルマが浸水するほどの災害に見舞われ、周辺の道路環境も悪化しているわけですから、当然すぐに対処してもらうのは難しいですが、なるべく早くクルマを点検してもらう必要があります。

 

ただし、ここで注意したいのは、実際にクルマが水に浸かってしまったときに、被害にあったクルマのエンジンをむやみに始動させないこと。状況次第ではありますが、とりあえず自走で動かすのは諦めましょう。

 

これは、エンジンへのダメージを最小限に抑えるとともに、感電などの二次被害をさけるためです。

 

そして、できればその場、無理ならレッカー移動をしてもらって点検を受けるように段取りしましょう。

 

水没車01

 

自走でクルマの移動をしてはいけないときの判断基準は「ドアの下端」まで水が達しているかどうか。

 

シート下のフロアの部分は無数の配線が張り巡らされているので、ドアからの水が車内に達しているようであればクルマを動かす以前にキーを差し込んでしまうのも避けます。間違ってもキーを回してイグニションをONにすることのないように。

 

一度水に浸かったクルマのエンジンを掛けてしまうとダメージがより深刻化する恐れがあるので、仮に停車している位置が交通の妨げになるような場所で、しかも民間のレッカー会社に移動を頼めないような状況であれば消防署へ車両の移動を依頼しましょう。

 

感電の可能性は低いですが・・・

 

現在は、ハイブリッドカーをはじめ、大容量バッテリーを搭載している車両が多くなりましたが、防水性や漏電防止機能は非常に高い設計になっているので、感電や発火の危険性は極めて低いといえます。

 

とはいえ、万が一にも感電をしてしまった場合は甚大な被害をもたらすので、どちらにしても停車している場所で専門家の指示を仰ぐのが得策です。

 

感電

 

実際に自分の愛車が水没してしまったらパニックに陥ると思いますができればダメージは最小限に。

 

仮に完全に動かないような状態になってしまっても、洪水などが原因で水没したケースでの全損は車両保険に入っていれば保険が適用されます。(地震などが原因で全損の場合は保険対象外)

 

なので、感電などで取り返しのつかないことにならないためにも、安易に動作確認などをしないように気をつけましょう。

水没車特有のダメージがあるので・・・

それでは水没してしまった状態のクルマはその後どうすればいいのでしょう。

 

これ、実際にはクルマを持ち込んだ販売店や修理工場等で相談をすることになるとは思いますが、基本的には修理をして乗り続けるのは避けるべきです。

 

ネックとなるのはなんといっても、そのクルマが常にエンジンの不調や電気系統の不調を起きやすい状態にあるということ。とくに海水が浸水した場合は金属腐敗による深刻なダメージが長期にわたり懸念されます。

 

修理

 

また、意外に厄介なのが「ニオイ」です。たとえ外見に損傷がなくても水害特有の「ニオイ」を取り除くのは容易ではありません。家の中が浸水したときも一番大変なのがニオイを除去することだと言われています。

 

もちろん、様々な事情があって、修理をして乗り続けなければいけないという場合もあると思いますが、修理費用に見合わないケースが多いことは頭に入れておいた方がいいかもしれません。

 

水没車は修理をしてあっても、売るときには二束三文になるのということも合わせて覚えておきましょう。

 

これは、中古車市場での水没車は「冠水歴車(浸水車・水被害車)」扱いとなり、事故などによる「修復歴あり」の車両よりも評価が低いため。

 

当然、通常の事故車よりも不安要素の多いクルマを喜んで購入するユーザーもいませんし、いつ不具合が発生するか分からない状態のクルマを売ることはリスクがあるので、水没車は中古車店にも嫌われます。

 

ダメ

 

ということで、仮に自分のクルマが水没してしまったら、修理もなかなかできないし売ろうと思っても高く売れない状況になるわけですが、決して悲観することはありません。

 

先程も少し触れたように、水没車は地震による津波などのケースを除いて基本的にはエコノミー型の自動車保険でも補償されるので、保険が適用され新しいクルマに切り替わる可能性は十分にあります。

 

翌年の保険等級は1等級ダウンするものの、できれば全損扱い(修理費用が保険金額を超える)になるのを願うばかりですね。

 

ちなみに、これまでは止まっている状態で浸水した状況の説明をしていますが、走行しているときに浸水してきて、もしエンジンが止まってしまったら全損扱いになるはずなので、クルマに固執せず身の安全確保を第一に。

水没車の処分はやはり専門の業者

車両保険に加入していて、運良く(?)全損扱いになり保険金が支払われればいいですが、仮に、車両保険に加入していなかったり、保険に入っていても全損扱いにならず、やむなくクルマを手放すことになったとしたら・・・

 

これはもう真っ先に廃車専門の業者に相談してみましょう。

 

アジア

 

とくに、ロシアなどでは日本車の水没車は「性能の良いクルマが安く購入できる」ということで一定の需要があったり、修理をすればある程度は正常に動くといったクルマであればアジア圏ではそれなりに引き合いがあります。

 

水没車の買い取りを依頼するはときでも、海外の販売ルートを持っている業者を選ぶのがポイント。

 

当サイトのTOPページ で紹介しているような業者なら通常の買取店よりも高く買い取ってくれるはずです。

 

最後に・・・

 

いくら海外に水没・冠水車の需要があったとしても、さすがにエンジンが完全に壊れてしまっていれば、部品のバラ売りくらいしか引き合いはありません。

 

なので(繰り返しになりますが)クルマが浸水した場合は、ダメージを最小限に抑えるため、すぐにエンジンを掛けようとせず、まずは販売店や修理工場への相談を優先することを覚えておきましょう。